育児で手首が痛い(腱鞘炎)ときの対処とセルフケア
2026/11/06

「赤ちゃんを抱き上げると手首の親指側がズキッとする」「ペットボトルのふたを開けるのがつらい」。産後しばらくして、こうした手首の痛みに気づく方は少なくありません。抱っこや授乳、おむつ替えは毎日何十回もくり返す動作なので、痛くても手を休めにくく、「育児中だから仕方ない」とがまんしてしまいがちです。
この記事では、育児中に手首が痛くなる仕組みと、代表的な腱鞘炎(けんしょうえん)である「ドケルバン病」の特徴、毎日の抱っこでできる手首を守る工夫とセルフケア、そして医療機関に相談したほうがよいサインを、整骨院の柔道整復師の立場からわかりやすくまとめました。
産後に手首が痛くなる仕組み
指や手首を動かす筋肉は、ひじから手首にかけての前腕(ぜんわん)にあり、その先が「腱(けん)」というひものような組織になって指の骨につながっています。手首のあたりでは、腱がばらばらに浮き上がらないよう「腱鞘(けんしょう)」というトンネル状のさやが腱を包んでいます。
同じ動きを何度もくり返すと、腱と腱鞘がこすれ合って炎症が起き、腱鞘が厚くなります。トンネルが狭くなると腱がさらにこすれやすくなり、痛みがなかなか引かない、という悪循環になりやすいのです。カーテンレールに引っかかりができると、カーテンを引くたびにひっかかってしまうのと少し似ています。
手首の親指側では、親指を伸ばす「短母指伸筋腱(たんぼししんきんけん)」と、親指を広げる「長母指外転筋腱(ちょうぼしがいてんきんけん)」の2本が同じトンネルを通っています。ここに起きる腱鞘炎が「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎:きょうさくせいけんしょうえん)」です。日本整形外科学会の一般向け情報でも、妊娠・出産期の女性や更年期の女性に多いとされています。
育児で手首を痛めやすい原因
1. 親指を大きく開いて抱き上げる
赤ちゃんの脇の下に手を入れ、親指と残りの4本の指で挟むように持ち上げると、親指側の腱に強い負担がかかります。首がすわる前は頭を手のひらで支える場面も多く、手首を反らせた姿勢が続きがちです。
2. 授乳や寝かしつけで同じ姿勢が続く
授乳のあいだ赤ちゃんの頭を片手で支え続けたり、寝かしつけで長く抱っこしたりすると、手首を休める時間がありません。
3. 赤ちゃんの体重が増えていく
生後数か月で体重が倍ほどになることも珍しくなく、同じ抱き方でも手首への負担は日ごとに大きくなります。
4. 産後の体の変化
妊娠・出産期はホルモンのバランスが大きく変わる時期で、むくみや睡眠不足、疲れも重なります。手をよく使う家事が増えることもあり、痛みが出やすい条件がそろいやすい時期といえます。
当院でも施術前の問診で、痛みが出る動作(抱き上げ、授乳、ふたを開けるなど)、左右どちらの手か、出産からの時期、指のしびれや引っかかりがないかなどを確認しています。
毎日の抱っこでできる手首を守る工夫とセルフケア

- 手首ではなく腕全体で抱く:抱き上げるときは親指を開かず、手のひら全体と前腕で赤ちゃんの体をすくうようにし、すぐに体に引き寄せます。
- 頭は前腕で支える:横抱きや授乳のときは、手首を反らせて頭を支えるのではなく、ひじの内側から前腕にのせるようにすると手首の負担が減ります。
- クッションや抱っこひもに頼る:授乳クッションやたたんだタオルで赤ちゃんの位置を高くし、腕で持ち上げ続けなくてよいようにしましょう。長い抱っこは、体に合わせて調整した抱っこひもを使うのも一つの方法です。
- 左右を入れかえる:抱っこする腕や授乳の向きを意識して左右交互にします。
- 家事の手の使い方を工夫する:ふたやびんを開けるときは手のひら全体で回す、重い鍋やフライパンは両手で持つなど、親指だけに力を集中させないようにします。
- 前腕をやさしく伸ばす:痛くない範囲で、腕を前に伸ばして手のひらを下に向け、反対の手で指先をそっと手前に引き、前腕の外側を10秒ほど伸ばします。痛みが強くなる場合は行わないでください。
- 痛む部分を強く押したりもんだりしない:熱っぽさや腫れがあるときは、無理に動かさず休ませることを優先しましょう。
市販のサポーターや湿布、痛み止めを使いたいときは、授乳中であることを伝えたうえで医師や薬剤師にご相談ください。
こんなときは医療機関へ|受診の目安
次のような場合は、整骨院ではなく、まず整形外科などの医療機関にご相談ください。
- 指先や手のひらにしびれがある、夜中や明け方にしびれで目が覚める
- 指を曲げ伸ばしするとカクッと引っかかる、指が伸びにくい
- 手首が赤く腫れて熱を持っている、発熱がある
- 転んだりぶつけたりしたあとに強く痛む、腫れが強い
- 安静にしていても痛む、2週間ほど工夫しても痛みが変わらない
- 物を落としやすい、手に力が入りにくい
腱鞘炎の治療は、手首を安静に保つための固定や、薬、注射などが行われることがあり、診断や治療方針は医師が判断します。授乳中であることも忘れずに伝えましょう。
よくある質問
Q. 自分でドケルバン病かどうか確かめる方法はありますか?
A. 親指を手のひら側に曲げてほかの指で握り、手首をゆっくり小指側へ倒したときに親指側の手首が強く痛む場合は、ドケルバン病の可能性があります。ただし、これは目安にすぎません。痛みが強い場合は無理に試さず、医療機関で診察を受けてください。
Q. 痛みがあっても抱っこは続けて大丈夫ですか?
A. 赤ちゃんのお世話をやめることはできないので、痛む手をなるべく使わない抱き方に切りかえることが大切です。家族に抱き上げを代わってもらう、抱っこひもやクッションを使うなど、手首を休める時間を少しでも作りましょう。
Q. 育児による手首の痛みに、整骨院の健康保険は使えますか?
A. 整骨院で健康保険が使えるのは、骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷などの急性のけがです。抱っこや家事のくり返しによる手首の痛みや、慢性的なこり・疲れは保険の対象外(自費)となります。
百合ヶ丘mana整骨院の産後ケア

百合ヶ丘mana整骨院は、小田急線「百合ヶ丘」駅から徒歩約8分、「新百合ヶ丘」駅から徒歩約12分の整骨院です。坂道の多いこの街では、抱っこひもで赤ちゃんを抱えながら買い物袋を持つ日も多く、手首だけでなく肩や腰にも負担がかかりがちです。当院では、医療機関で確認が必要なサインがないかを問診・検査で確かめたうえで、手首や前腕、肩まわりの状態に合わせて、もみほぐしやストレッチなどを無理のない範囲で行います。ご自宅で続けやすい抱っこの工夫も一緒に考えます。
平日は9:00〜20:00、土曜・日曜・祝日も9:00〜17:00まで営業しています(休診は年末年始、予約制)。駐車場は店舗前に1台(ホームページの予約サイトからご予約いただけます)、近隣のスーパー三和と提携しており、駐車券をお持ちいただくと2時間無料になります。麻生区で育児中の手首や体のつらさが気になる方は、百合ヶ丘mana整骨院にご相談ください。
所在地:川崎市麻生区百合丘1丁目15-3 ブライト百合丘/ご予約・お問い合わせ:044-328-9683(ネット予約は24時間受付)
参考
この記事の監修者
百合ヶ丘mana整骨院の柔道整復師が監修しています。当院には柔道整復師のほか、はり師・きゅう師の資格を持つスタッフも在籍しています。
この記事は一般的な情報です。症状には個人差があるため、気になる症状は医療機関や専門家にご相談ください。








